Classici giapponesi con furigana
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ぜんきてんまやけ
前記天満焼
国枝 史郎
Leggi 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.568 caratteri · 98 schermate
つくねんと坐っている松吉の、膝の直ぐ前に桃色をした昼顔の花が咲いている。
と、蜂が飛んで来たが、花弁を分けてもぐり込んだ。人の世と関係がなさそうである。
「と云ってもう一度柏屋へ行って、探りを入れようとは思わない。こっちの命があぶないからなあ。……鈴を振る音、祈祷の声、……その祈祷だったが大変物だった。……それからドンと首を落とした音! ……いや全く凄かったよ」
思い出しても凄いというように、松吉は首を引っ込ませた。
「そいつの一味に追われたんだからなあ。逃げたところで恥にはなるまい」
こう呟いたが苦笑をした。やっぱり恥しく思ったかららしい。
「いやいい所へ逃げ込んだものさ」
女役者の扇女の家へ、せっぱ詰まって転げ込み、扇女の侠気に縋りつき、扇女が門口に端座して、追手をあやなしている間に、二階の窓から屋根を伝い、裏町の露地へヒラリと下り、それからクルクル走り廻り、ここ迄辿り着いた一件を、心の中で思い出したのである。
「あれが普通のお神さんだったら、驚いて大きな声を上げ、俺を追手の連中へ、きっと突き出したに相違ない。世間に人気のある人間は、度胸も大きいというものさ。