Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜんきてんまやけ

前記天満焼

国枝 史郎

Leggi 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.568 caratteri · 98 schermate

Aozora Bunko

懲りずにまたも近寄りましたは、何より幸いにございます。今度こそ逃がさず追い詰めて、息の根を止めるでございましょう」

狂信者の群を見廻したが、

「向こうへ逃げて行くあの男こそ、我々にとっては無二の敵、教法を妨げる法敵でござる。追い付いて討っておとりなされ」

狂信者の群が後を追う。

背後を振り返った岡引の松吉は、

「いけないいけない追っかけて来る。いよいよ今朝方と同じだ。さあてどっちへ逃げたものだ。まさかにもう一度扇女さんの家へ、ころがり込むことも出来ないだろう。一体ここはどこなんだろう?」

霊岸島の一ノ橋附近で、穢い小家が塊まっている。火事の光でポッと明るく、立騒いでいる人の姿が、影絵のように明暗して見える。

「火事だ火事だ!」

「ぶちこわしだ!」

「さあ押し出せ!」

「ぶったくれ!」

などという声々が聞こえてくる。

軒に倒れている人間がある。飢えた行路人に相違ない。家の中からけたたましい、赤子の泣き声が聞こえてくる。乳の足りない赤子なのであろう。

そこを走って行く松吉である。

と、右へ曲がろうとした。するとそっちから叫び声がした。

「こっちへ来るぞ打って取れ!」