Classici giapponesi con furigana
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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Leggi 剣侠 (けんきょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.961 caratteri · 310 schermate
床から独楽を拾い上げ、顫えを帯びた含み声で、こうテレ隠しのように口上を述べ、源女が芸を続け出したのは、それから直ぐのことであった。
これがかえって愛嬌になったか、見物は湧きもしなかった。
その後これといって失敗もなく、昔ながらに鮮かに、源女は独楽を自由自在に使った。
一基の燈籠に独楽が投げ込まれるや、牡丹が花弁を開くように、燈籠は紙壁を四方に開き、百目蝋燭を露出させ、焔の先から水を吹き出し、つづいてもう一基の燈籠の中から、独楽が自ずと舞い上り、それを源女が手へ戻した途端、そのもう一基の燈籠も、紙壁を開き水を吹き出した。この最後の芸を終えて、悠々と源女が舞台から消えると、見物達は拍手を送った。
浪之助は小屋を出て、裏木戸の方へ廻って行った。
「久しぶりだな、爺つぁん」
木戸口にいた爺さんへ、こう浪之助は声をかけた。
「へい」と木戸番の爺は云った。
「これは杉様で、お珍しい」
「たっしゃでいいな、一年ぶりだ」
「旦那様もおたっしゃのご様子で」
「源女が帰って出演ているようだな」
「よくご存知で、ほんの昨今から」
「ちょっと源女に逢いたいのだが」
「さあさあどうぞ」と草履を揃えた。