Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんきょう

剣侠

国枝 史郎

Leggi 剣侠 (けんきょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.961 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

を、微吟しながら歩いて行った。

遅く出た月が空にあったが、樹木が繁っているために、木洩れの月光がそこここへ、光の斑を置いているばかりで、あたりはほとんど闇であった。

不意に行手で閃めくものがあり、悲鳴がそれに続いて聞こえた。

ギョッとして浪之助は足を止めた。

(切られたらしい)と直感された。

(横へ逸れて行ってしまおうか)

ふとそんな気も起こったが、町人とは違い武士であった。

(卑怯な)と思い返して走って行った。

香具師――それも膏薬売らしい、膏薬箱を胸へかけた男が、右の胴から血を流し、その血の中に埋もれて居り、そうした死骸を見下ろしながら、一人の武士がその前に佇み、一人の女がその横にいて、血刀を懐紙で拭っているという、凄惨無慈悲の光景が、巨大な棒のように射して来ている木洩れの月光に照らされて、浪之助の眼に映った。

フーッと気が遠くなりそうであった。

そう、浪之助はもう少しで、気を失って仆れそうになった。

「貴殿のおいでを待っていました」

水品陣十郎がそう云った。

2

血刀を女に拭わせている武士、それは水品陣十郎であった。

「拙者水品陣十郎と申す、浪人でござる、お見知り置き下され」