Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんきょう

剣侠

国枝 史郎

Leggi 剣侠 (けんきょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.961 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

「ワッ」

悲鳴!

血煙!

血煙!

いやその間に、一髪の間に――大下手切りの行なわれる、前一髪の際どい間に……

※(歌記号、1-3-28)秩父の郡、小川村、

逸見様庭の桧の根

そういう女の歌声が、手近かの所から聞こえてきた。

「あッ」と陣十郎は刀を引き、タジタジと数歩背後へ下った。

9

無心に歌をうたいながら、源女は大薮の中にいた。

いつも時々起こる発作が、昨夜源女の身に起こった。そこでほとんど夢遊病患者のように、赤尾村の林蔵の家を脱け出し、どこをどう歩いたか自分でも知らず、この辺りまで彷徨って来、この大薮で一夜を明かし、たった今眼醒めたところであった。

まだ彼女の精神は、朦朧としていて正気ではなかった。

島田の髷が崩れ傾り、細い白い頸にかかってい、友禅模様の派手な衣裳が、紫地の博多の帯ともども、着崩れて痛々しい。素足に赤い鼻緒の草履を、片っぽだけ突っかけている。夜露に濡れたため衣裳はしおたれ、茨や木の枝にところどころ裂かれ、手足も胸元も薮蚊に刺され、あちこち血さえ出していた。

そういう源女は身を横倒しにし、草の上に延びていた。秋草の花――桔梗や女郎花や、葛の花などが寝ている源女の、枕元や足下に咲いていた。