Classici giapponesi con furigana
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すけごろうよざい
助五郎余罪
牧 逸馬
Leggi 助五郎余罪 (すけごろうよざい) di 牧 逸馬 (まきいつま) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7407 caratteri · 15 schermate
と同時に、狼籍者は雲を霞と逃げ失せて、肋と頤へ怪我をした又七は、ようよう溝から這い出して、折柄通りかかったあの若造に助けられて自宅へ帰り着いたというのである。
弟子や近所の手前は急病ということにして置いて、又七はそれからずうっと床に就いている。傷は大したことはないがその時受けた驚きとあとから体熱が出たのとで、見るから衰えているようだった。一歩も人に譲らない体の人物だけに、この出来事が彼の自負心に及ぼしたところは大きかったとみえて、てんで何処の何者の仕業とも判らないのが実に残念で耐らないと彼は幾度も口に出した。けれども直ぐその後から、
「痩せても枯れても笛の又七でございます。やくざめいたこんな間違えでお上へお手数を掛けようなんて、そんなけちな了見はこれっぽちもございません」
と暗に助五郎の来訪を迷惑がるような口吻を洩らして、それとなく逃げを張るだけの用心も忘れなかった。
助五郎は黙っていた。脚を二つに折って、きちんと揃えた膝頭へ叱られる時のように両の手を置いた儘、彼は外見だけはいかにもしんみりと控えていた。が、両の眼を何げなさそうに走らせて、部屋の造作や置物、調度、さては手廻りの小道具へまで鋭い評価と観察を下すのに忙しかった。