Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちよこ

千世子

宮本 百合子

Leggi 千世子 (ちよこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 83.104 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

方がいいからさがして買いましょうネ」って千世子の云って居た樗牛の五巻を出して、

「これをおよみになる様に――いいでしょう」

って千世子の手にもたした。

「マアどうもありがとう、――ほんとうに何よりですワ、先から云ってたんですものネエ、これ貴方の?」

「エエ、去年だか買ったんでした、一通りよめば専門にして居るんじゃあないんだからどうでもと思ってつくねて置いたものだから……線や点がうってあるかもしれませんけどマアかんべんしっこですよ」

Hがこんな事を云って居る時列車は動き出した。

「ジャさようなら、御大切に――」

Hはこう云って帽子をとった。

「わざわざおそれ入りましたなア」

「ほんとうにネエ、どうも」

両親はこんな事を云ってまだ速力のにぶい列車について歩いて居るHに礼を云って居る間、千世子はHの目ばかりを忘れまいとする様に見て居た。

一寸速力が速くなった時千世子はズーッと体をのり出して、

「ありがとう――さようなら」

と大きなこえで云って立って帽子をふって居るHを見えるだけ見て頭をひっこめた時いかにも旅に出る様な気持になった。

すみっこに体をおしつけてHからもらった本をわけもなくくって見た。