Classici giapponesi con furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Leggi 千世子 (ちよこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 83.104 caratteri · 164 schermate
「彼の人はあんな癖をもって居る。
心に余裕のない人だ。
文学とか美術とか云う事に私ほどの興味をもって居ない人だ」
と思うすぐそのあとから、
「それと云うのも若い内の悲しかった事、辛かった事がそう云う人にしてしまったんだ」
そう思った時にはもう同情に変って居た。
「ねえ、私達は仲のいい御友達で居るのが一番いいんですワネエ」
Hに会った時にそう云った事もあった。
「母さん、Hさんに良い女を世話して御あげなさいよ、そいでなくっちゃあ」
「そう思ってこないだも云って見たんだけれ共いやだと云ってききゃあしないんだもの、思ってる人でもあるんだよきっと……」
千世子はそれをきいてしかめっつらをして首をふった。
「ねえ、御前信夫さんねえ、あの人のところから又先みたいな手紙をよこしたんだよ。どうしたんだろうねえ、あんまりあとさきを考えない仕様だねえ……」
「そんな手紙を書く時にあとさきを考えるんなら始めっからそんな事も思わないんだろうけれ共――ほんとうに私はいやになっちゃう、尼寺へでも行っちまいましょうか」
「そうするといいよほんとうに……」
母親は笑ってとり合わなかった。
「信夫さんなんかってあんな世間知らずなくせに――あんな手紙書く事ばかり知ってる――」