Classici giapponesi con furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Leggi 千世子 (ちよこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 83.104 caratteri · 164 schermate
三人は話をしないで歩いた。けれ共千世子の目の中には絶えず笑がさしこんで居た。不動さんへのまがりっかどに来た時Hは向うから来た夫婦づれを見て、
「いい気で居らあ、ちっとのろいナ」
と云った。
まだ若い旦那さんが奥さんの洋傘をうでにひっかけて笑いながら歩いて来る。奥さんは鼻の先ばっかり白い、髪を不器用につかねた、草履でほこりをあげあげする、白っぽい縫の半衿が馬鹿に形につり合って居ない、頭のなさそうな女だった。これだけをすぐ見た千世子は鼻声でこんな事を云った。
「そんな事は必して云うもんじゃあありませんわ、いかにも独身者らしい言葉じゃありませんの」
あの高い段々を登る時はいつものくせで(千世子は小供の時から父や何かと歩いてもきっと相手のうでに自分のうでをからみつけるくせがあった)Hと源さんのうでに両うでをひっかけてひきずりあげられる様にしてらくに上った。うすっくらい拝殿の中にまだ若い僧のねそべって居たのが千世子の大きな笑い声にとび起きて赤いかおをしたのが気の毒の様にも又馬鹿馬鹿しい様にも思えた。
一廻りして下に下りた。千世子は何にもわだかまりのない様なカラッとしたかおっつきをして四方のものをすばしっこくながめ廻した。