Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
と頭は頭らしいことを言って、笑い眺めていた。
巡査が入って来た。子供達はおずおずと屠場を覗いていた。犬もボンヤリ眺めていた。巡査は逢う人毎に「御目出度う」と言ったまま、火のある小屋の方へ行った。このごちゃごちゃした屠場の中を獣医は見て廻って、「オイ正月に成ったら御装束をもっと奇麗にしよや」
古びた白の被服を着けた屠手は獣医の方を見た。
「ハイ」
「醤油で煮染めたような物じゃ困るナ」
南部牛は既に四つの大きな肉の塊に成って、その一つズツの股が屠場の奥の方に釣された。屠手の頭はブリキの箱を持って来て、大きな丸い黒印をベタベタと牛の股に捺して歩いた。
不思議にも、屠られた牛の傷ましい姿は、次第に見慣れた「牛肉」という感じに変って行った。豚も最早一時前まで鳴き騒いだ豚の形体はなくて、紅味のある豚肉に成って行った。南部牛の頭蓋骨は赤い血に染みたままで、片隅に投出してあったが、屠手が海綿でその血を洗い落した。肉と別々にされた骨の主なる部分は、薪でも切るように、例の大鉞で四つほどに切断せられた。屠手の頭も血にまみれた両手を洗って腰の煙草入を取出し、一服やりながら皆なの働くさまを眺めた。