Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちどり
千鳥
鈴木 三重吉
Leggi 千鳥 (ちどり) di 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.951 caratteri · 41 schermate
「私ただ今お邪魔じゃございませんか」
「何がです?」
「お手紙はお急ぎじゃないのですか」
「そうですね。――郵便の船は午に出るんでしたね」
「ええ。ではあとですぐ行李をこちらへ運ばせますから」と、藤さんは張合がなさそうに立って行く。
「あ、この花は?」
「え?」と出口で振り向いて、
「それはあなたにおあげ申したのですわ」
藤さんが行ってしまったあとは何やら物足りないようである。たんぽぽを机の上に置く。手紙はもう書きたくない。藤さんがもう一度やってこないかと思う。ちぎった書き崩しを拾って、くちゃくちゃに揉んだのを披げて、皺を延ばして畳んで、また披げて、今度は片端から噛み切っては口の中で丸める。いつしかいろいろの夢を見はじめる。――自分は覚めていて夢を見る。夢と自分で名づけている。
馬の鈴が聞えてくる。女が謡うのが聞える。
ふと立って廊下へ出る。藤さんが池のそばに踞んでいて、
「もうおすみになって?」と声をかける。自分は半煮えのような返事をする。母屋の縁先で何匹かのカナリヤがやっきに囀り合っている。庭いっぱいの黄色い日向は彼らが吐きだしているのかと思われる。
「ちょっといらっしてごらんなさいな。