Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちどり

千鳥

鈴木 三重吉

Leggi 千鳥 (ちどり) di 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.951 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

幸にそれにはちょっとした糸がついていたので、ぐいとその糸を引くと、針はすらりと抜ける。

「もう一と月からになるのですのに、ずっと私そんなでしたものですから、今日は気分はいいし、私の方からそう言って、これを言いつかったのですのに」

「かまわないや、そんなことは」

「だって女はそうも……」と、針に糸を通す。

自分は素直に立って、独りで玄関へ下りたが、何だか張合が抜けたようでしばらくぼんやりと敷居に立っている。

と、

「兄さん」と藤さんが出てくる。

「あそこに水天宮さまが見えてるでしょう。あそこの浜辺に綺麗な貝殻がたくさんありますから、拾っていらっしゃいな」という。そんなに勢まないのだけれど、もうよそうとも言えないので、干し列べた平茎の中をぶらぶらと出て行く。

五六歩すると藤さんがまた呼びかける。

「あなたお背に綿屑かしら喰っついていますよ」

「どこに?」

「もっと下」

「このへんですか」

「いいえ」

「大きいのですか」

「あ、もうちょっと上」と言い言い出てきて取ってくれる。真綿の切れに赤い絹糸の絡んだのが喰っついていたのである。藤さんはそれを手で揉みながら、

「いいお天気ですね」