Classici giapponesi con furigana
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みなみさんのこいびと
南さんの恋人
豊島 与志雄
Leggi 南さんの恋人 (みなみさんのこいびと) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.630 caratteri · 36 schermate
そして南さんは、なおひどく酒を飲み、ちょっとおれの手伝いもあるにはあったが、昨夜のようなことになったのだ。
山根さんはどんな様子をしてるだろう、それがおれの興味の中心だった。
然るに、女中は洗濯をしており、正夫は縁側にねころんで色鉛筆で画仙紙をぬりたくっており、そして当の山根さんは、茶の間の長火鉢の前に、いつもの通りどっしりと控えて、卓袱台の上にマニキュアのセットをひろげて、爪を磨いてるところだった。
山根さんは家事万端のやり方が至って几帳面であると共に、身だしなみも几帳面だったが、顔に剃刀をあてたことがなく、上唇に産毛みたいなうすい髭がはえてるのと、丹念に手の爪を磨くのとだけは、少し不調和だった。艶出液には無色のものを使っているとはいえ、磨いた爪はやはり磨いた爪にしか見えない。肩が頑丈で、腕が太く、手先は細そりしていて、拇指の爪だけがだだびろく、他の爪は小さく恰好がよく、そしてそれらの爪がいつもぴかぴか光っていた。四五日おきには必ずマニキュアの道具が取出された。まず金剛砂板、それから外皮除去液、艶出液、エナメル……十本の指先をすっかり仕上げてしまうには、一時間か一時間半かかるのだ。