Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんきんむしさつじんじけん

南京虫殺人事件

坂口 安吾

Leggi 南京虫殺人事件 (なんきんむしさつじんじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.660 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

父の推理

政府や他の勢力がひそかにそれを奨励しているような密輸だって、あるかも知れないのよ」

「すみません」

「いいのよ。それで、もしも父がそうなら、それから、どうなの?」

「もう、いいんです」

百合子は口を押えて、ふきだしたいのを堪えながら、立上った。

「また変なことお訊きに伺うかも知れませんけど、会って下さいますか」

「ええ、ええ。何度でも、いらッしゃい。お勤めの御用の時に限らずに、ね」

「ありがとう」

百合子はワクワクしながら、夢中で表へとびだした。

渋谷駅の方へ歩きかけると、後から呼びとめられた。父であった。

「心配だから、そッと様子をうかがっていたのさ。首尾はどうだい?」

「ウチへ帰って話すわ」

百合子は父の手をとって、子供の遠足のように大きくふりながら、上気して歩いていた。

父の推理

家へ戻って、百合子は陳邸での様子を父に物語った。

父はいかにも意外の顔で、百合子の話をきき終ったが、ふと淋しそうに云った。

「女はそういうものかなア」

「なアぜ?」

「お前のようなシッカリ者でも、ボオーッとなると、そんなになるのかということさ。だってなア。お前はえらい決心で出かけたはずじゃないか。