Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん

南北の東海道四谷怪談

田中 貢太郎

Leggi 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.555 caratteri · 34 schermate

Aozora Bunko

「う、う」

どす黒い血がお岩の顔から体を染めた。宅悦はふるえあがった。

「た、たい、へんだ、たいへんだ」

其の時何処からともなく一匹の猫が来た。

「こん畜生、死人に猫は禁物だ」

宅悦は猫を追った。其の途端に欄間の上から大きな鼠が猫を咬えて出て来たが、すぐ畳の上へ落とした。宅悦は嬰児を寝かすなり表へ走り出た。門の外には伊右衛門が裃をつけて立っていた。

「按摩か、首尾はよいか」

宅悦は夢中になっていた。

「たいへん、たいへん、たいへん、お岩さまがたいへんだ。それに、大きな鼠が、猫が」

宅悦は狂人のようになって走った。伊右衛門は訳が判らなかった。

「なんだ、鼠がどうしたのだ。鼠、鼠と云って逃げやがったが、首尾がわるいのか。それでは、彼の中間奴を姦夫にするか」それから内へ入って、「お岩、お岩」

足もとで嬰児が泣きだした。伊右衛門はびっくりした。

「あ、もうすこしで、踏み殺すところじゃ。お岩は何処へ往った、おい、お岩」

其の時また彼の大きな鼠が何処からともなく走って来て、泣き叫ぶ嬰児に咬みついた。

伊右衛門はすばやく嬰児を抱きあげて、きょろきょろと四辺を見た。其処にお岩の死骸があった。