Classici giapponesi con furigana
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なんぼく
南北
横光 利一
Leggi 南北 (なんぼく) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.591 caratteri · 40 schermate
どこへでもええで寝さしてくれよ。」と安次は云った。
「ぬかしてよ。汝や汝で、何ぜ俺とこを母屋やなんてたれるのや。どこで聞いて来た。他家んとこへ来るなら来るで、ちゃんとして来い。」
「そんなに大っきな声出さんでも、ええわして。」とお留は云った。
「いいや、声ででも嚇しつけんと、こんな奴、何さらすかしれん。」
「阿呆なこと云うてんと、置いといてやらえな。」
「こんな奴置く位なら、石の頭巾冠ってる方が、ましじゃ。」
勘次は今が引き時だと思った。そして、そのまま黙って帰りかけると、秋三は彼を呼びとめた。
「勘公、此奴をどうするつもりや。」
「どうするって、こちゃ知らんわ。」
「知らん! もういっぺん云うてみよ。」
「こちゃ知らんてことよ。」
勘次は後も見ずに帰っていった。秋三は勘次の後を追い馳けようとして二三歩進んだが、又引き返すと、縁へごろりと横になっている安次の襟を持ってひき起した。
「寝さらして、こら!」
「もう勘忍してくれ。」
「勘忍も糸瓜もあるかえ。南へ行きやがれ南へ。」
「もうお前、へたばるが。」
「立てったら、立ちさらせ。」
安次は蹲んだまま怒った片肩をなお張り上げて、戸口までずるずる引き摺られた。