Classici giapponesi con furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Leggi 南地心中 (なんちしんじゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.205 caratteri · 79 schermate
」
「妙に残惜いようだよ。」
男衆は、汀の婦にちょいと目を遣って、密と片頬笑して声を潜めた。
「串戯じゃありませんぜ。ね、それ、何だか薄りと美しい五色の霧が、冷々と掛るようです。……変に凄いようですぜ。亀が昇天するのかも知れません。板に上ると、その機会に、黒雲を捲起して、震動雷電……」
「さあ、出掛けよう。」
二人は肩を寒くして、コトコトと橋の中央から取って返す。
やがて、渡果てようとした時である。
「ちょっと、ちょっと。」
と背後から、優いが張のある、朗かな、そして幅のある声して呼んだ。何等の仔細なしには済むまいと思った半日。それそれ、言わぬ事か、それ言わぬ事か。
袖を合せて、前後に、ト斉しく振返ると、洋傘は畳んで、それは奴に持たした。縺毛一条もない黒髪は、取って捌いたかと思うばかり、痩ぎすな、透通るような頬を包んで、正面に顔を合せた、襟はさぞ、雪なす咽喉が細かった。
「手前どもで、」と男衆は如才ない会釈をする。
奴は黙って、片手をその膝のあたりへ下げた。
「そうどす。」と判然云って莞爾する、瞼に薄く色が染まって、類なき紅葉の中の俤である。
「一遍お待ちやす……思を遂げんと気がかりなよって、見ていておくれやす。