Classici giapponesi con furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Leggi 南地心中 (なんちしんじゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.205 caratteri · 79 schermate
自然と、髪を垂れ、袖を合せて、床几なる姫は皆、斉しくお珊が臨終の姿と同じ、肩のさみしい風情となった。
血だらけだ、血だらけだ、血だらけの稚児だ――と叫ぶ――柵の外の群集の波を、鯱に追われて泳ぐがごとく、多一の顔が真蒼に顕れた。
「お呼びや、私をお知らせや。」
とお珊が云った。
伝五爺は、懐を大きく、仰天した皺嗄声を振絞って、
「多一か、多一はん――御寮人様はここじゃ。」と喚く。
早や柵の上を蹌踉めき越えて、虚空を掴んで探したのが、立直って、衝と寄った。
が、床几の前に、ぱったり倒れて、起直りざまの目の色は、口よりも血走った。
「ああ、待遠な、多一さん、」
と黒髪揺ぐ、吐息と共に、男の肩に手を掛けた。
「毒には加減をしたけれど、私が先へ死にそうでな、幾たび目をば瞑ったやろ。やっとここまで堪えたえ。も一度顔を、と思うよって……」
丸官の握拳が、時に、瓦の欠片のごとく、群集を打ちのめして掻分ける。
「傘でかくしておくれやす。や、」と云う。
台傘が颯と斜めになった。が、丸官の忿怒は遮り果てない。
靴足袋で青い足が、柵を踏んで乗ろうとするのを、一目見ると、懐中へ衝と手を入れて、両方へ振って、扱いて、投げた。