Classici giapponesi con furigana
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なんとうたん
南島譚
Leggi 南島譚 (なんとうたん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7401 caratteri · 15 schermate
しかし、或日のこと、アルモノグイ近辺から来た椰子蜜採りの口から、竟に、事の真相を聞きつけた。
エビルは忽ちカアーッと逆上した。世の中に自分程可哀そうな者は無い、オボカズ女神の身体がパラオの島々と化して以来、リメイ程性の悪い女は無い、と喚き、ワアワア泣きながら家を飛び出した。海岸のア・バイの所迄来ると、その前の大椰子樹に手を掛けて上ろうとした。昔、大変古い昔、此の村の或る男が財宝と芋田と女とを友人に欺きとられた時、その男は此の椰子の親木(今からずっと前に枯れて了ったが、其の頃はまだ椰子としての男盛りで村一番の丈高い樹であった)に駈け上り、其の天辺から村中の人々に呼び掛けて、己の欺かれた次第を告げ、欺瞞者を呪い世を怨み神を怨み己を生んだ母親をも怨んで、それから、地上へ飛び下りた。之が言伝えに残る・前にも後にも此の島唯一人の自殺者だが、今エビルは此の男に倣おうとした。しかし、男になら訳なく登れる椰子の樹も、女には仲々むずかしい。殊にエビルは肥って腹が出ているので、登り易くする為に椰子の幹に刻んだ切痕を五段も攀じ上ると、早くも呼吸が切れて来た。もう之以上はどうしても登れそうもない。