Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

なんぽうゆうしん

南方郵信

中村 地平

Leggi 南方郵信 (なんぽうゆうしん) di 中村 地平 (なかむらちへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.899 caratteri · 42 schermate

Aozora Bunko

しかし、そういう事情を知る筈もない旦那は、このおかみさんという言葉を耳にした瞬間、郡長の年俸が自分の月収にも劣ることを、たちまち腹のなかで計算してしまった。そして、彼の愚鈍そうな顔を念頭に浮かべて、ひとりでむかむかしていた。

しかし、例によって他人に対して人ざわりのいい旦那は、暫く怒りは腹のなかに抑えつけ、その気に喰わない女客を、にこやかに玄関まで送りだした。そして、門の外に彼女の俥が消えもしないうちに、奥の間へ駈けこんで、奥さんに当りちらしたものであった。

「わりが漬物臭い恰好をしているばっかりに、わしゃいつでも人前で恥ばかかんならん」

またある時、源吉爺さんは三太をそそのかした。

「アコン、旦那に言って山羊というもんを飼って貰いなさらんか。山羊の乳は仰山に滋養があるそうですど」

しかし、こんどは旦那も爺さんを叱らなかった。

山羊という家畜は、どこか西洋臭くて「ハイカラ」な感じがし、おまけにまだその地方には一匹も飼われていない。源吉爺さんも若い頃、トヨを出品したF市の家畜共進会でたった一度見かけたことがあるのに過ぎない。それが新しもの好きな、旦那の好奇心をゆすぶったのであった。