Classici giapponesi con furigana
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なんきょくき
南極記
久生 十蘭
Leggi 南極記 (なんきょくき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.753 caratteri · 35 schermate
などとぬかすのだ。シャクルトンは最終になった第三回(第四回)の探検に、近代装備をした七百噸のニムロッド号を捨て、わざわざ百二十噸のクェストという捕鯨船で南極大陸の周航に出かけ、とうとう悲惨な最後を遂げたが、この一見無意味な冒険は、百四噸のみじめな漁船で南極洋の氷海を乗切った、日本の探検隊の行跡に啓発されたからだと、死の直前にファー・イーストの記者に洩したということだった。信じられそうもないことなので、笑って聞き流してしまったが、氷原の上でひらめいている国旗を見ているうちに、ファー・イーストの記者が言ったことは、たぶん本当だったのだろうというような気がしてきた。
それにしても、あれから十五年も経っている。長い年月の間、この国旗が極地の劫風にも吹き倒されず、針氷の吹雪にも傷められず、その時のままのすがたで、執念のように翻っているのは、なにか魔性の生物でも見るようで不気味だった。低緯度の土地では、一枚の布切れが十五年も風雪に曝され、なお原形を保っているようなことはありえない。いったいこれはどういうことなのだろうと考えていたが、間もなく、そのわけがわかった。