Classici giapponesi con furigana
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たまご
卵
夢野 久作
Leggi 卵 (たまご) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3782 caratteri · 8 schermate
殻の色が黄色から桃色……桃色から茶色へ……茶色から灰色へ……そうして中から聞こえる寝息と思っていた物音が、夜の更けるにつれて高まって、しまいにはウンウンという唸り声かと思われるようになりました。
三太郎君は気味がわるくなって来ました。……きっと卵が孵化りかけているのに違いない。そうして中に居る或る者が殻を破り得ずに苦しがっているのに違いない……と思って……。しかしそのうちに、ひとりでに内側から破れるであろう、万一早まって割ったりしては大変だ……と我慢しいしい抱いておりました。
秋が更けて行くに連れて卵はだんだんと灰色から紫色にかわって行きました。それは死人のような気味のわるい色で、しまいには薄紅い斑点さえまじって来ました。卵の中のうなり声も次第に高まって、歯をむき出した野獣か何ぞのように物狂おしく力強くきこえて来ました。時折りはキリキリと歯切りをするような音さえ殻の中で起るのでした。
三太郎君はそのたんびにゾッとさせられました。夜通し眠られぬ事さえありました。これはタマラヌ……と心配しながら……。
すると或る夜の事、三太郎君がウンウン唸る卵を懐に入れたまま、ウツラウツラと睡っているうちに、不意にどこからともなくシャ嗄れた声が聞こえて来ました。