Classici giapponesi con furigana
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はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
Leggi 原民喜戦後全小説 (はるかなたび) di 原 民喜 (はらたみき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.577 caratteri · 124 schermate
すると、餌ものを覘う川獺の眼差がちらりと水槽の硝子の向に閃いているのだった。
☆私はその男と談話している時、相手があんまり無感覚なので、どうやら心のうちで揉み手をしながら、相手の団子鼻など眺めている。私を喜ばす機智の閃きもなく、私を寛がす感情のほつれも示さず、ただ単にいつもやって来てはここに坐る退屈な相手だ。どうしたらこの空気を転換さすことが出来るかと、私は頻りに気を揉んでいるのだが、そんな時きまって私は私の母親を思い出し、すると、私のなかに直かに母親の気質が目覚め、ついつまらないことを喋ったりするのだ。待っていた、とこの時相手はぶっきら棒に私の脳天に痛撃を加える。すると、私はひどく狼狽しながら、むっとして、何か奇妙に情なくなるのだった。
☆私はそこの教室へ這入って行くと、黙りこくって着席するのだが、這入ってゆく時の表情が、もうどうにもならぬ型に固定してしまったらしい。はじめて、その教室に飛込んだ時、私は私という人間がもしかするとほかの人間達との接触によって何か新しい変化を生むかと期待していたのだが、どうも私という人間は何か冷やかな人を寄せつけない空気を身につけているのか、どんな宿命によってこうまでギコチない非社交性を背負わされたのか、兎に角ひどく陰気くさい顔をしている証拠に、誰も今では私を相手にしようとし