Classici giapponesi con furigana
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はるかなたび
原民喜戦後全小説
原 民喜
Leggi 原民喜戦後全小説 (はるかなたび) di 原 民喜 (はらたみき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.577 caratteri · 124 schermate
「この時計も、古いのだなあ、君も知っているだろう」とその人は時計を見つめながら何か昔のことを喋り出したが、あたりの雑音にかき消されてしまった。――翌日、私は勤め先でどうも私のものごしに、人に対して親和的な調子が溢れそうになるのを、どうすることもできなかった。あの人の調子がずるずるとまだ私に働いているのであった。
☆私はその女を雇っていたため、食い辛棒の切ない気持にされてしまった。はじめ、その若い女が私の家へやって来た時、眼玉がギロリと光って暗黒な魂を覗かせていたが、居つくにつれて、だんだん手に負えない存在となった。いつでも唾液を口の中に貯えていて、眼は貪欲でギラギラ輝く。台所の隅で何かゴソゴソやっているかとおもうと、ドタバタと畳を踏んで表に飛出す。だらりと半分開いた唇から洩れて来る溜息は、いつも烈しい食欲のいきれに満ちていた。そして、何かものを云おうとする時、眼玉をギョロリとさせて、纏らない観念を追うように唇をゆがめ、舌足らずの発音で半分ほど文句を云っておき、さて突然烈しい罵倒的表現に移るのであった。いつもその女は私の気質を嘲弄するのであったが、私も相手に生理的嫌悪を抱きつづけた。