Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
さんぐうがえり
参宮がえり
田中 貢太郎
Leggi 参宮がえり (さんぐうがえり) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7325 caratteri · 15 schermate
女は眼の前に来た。
「あの、すこしあなたに」
忰はなるたけ落ちついていようと思った。
「なにか、私に」
「どうしても話さねばならないことがありまして」
「どんなことです」
「すこしみょうなことでございますから」
女の声は苦しそうであった。忰は己の期待にはずれたように思った。
「なんですか」
「すこしみょうなことでございますから」
女は息苦しいように云って前へ歩いた。忰は不審しながら跟いて往った。
小さな木の生えた間をすこし往くと大きな黒い岩があった。女はそこで足を止めた。
「どうぞ、ここへ」
忰は女の云うままにそこへ蹲みながら同じように己の前へ蹲んだ女の顔を見た。
「なんですか」
「すこしみょうなことでございます」
そう云って女は何か躊躇したが、そのうちに啜り泣きをはじめた。忰はびっくりした。
「なんですか」
「こんなことを申しますと、貴郎はびっくりしましょうが、私の伯父と兄は、真人間じゃありません、伯父と兄は、恐ろしい盗人でございます、船頭になって貴郎方を伴れて来て、殺してものを奪ろうとしております」
忰の体は顫えた。
「私がおりますから、どんなことがあっても、貴郎方の御迷惑になるようなことはありませんが、ほんとうは恐ろしい盗人でございます、早く貴郎に知らそうと思いましたが、知らして陸から逃げて往くようなことがあると、陸には