Classici giapponesi con furigana
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さんぐうがえり
参宮がえり
田中 貢太郎
Leggi 参宮がえり (さんぐうがえり) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7325 caratteri · 15 schermate
父親は我が子をいたわるように云った。
「今、持って来てくれました、お父さんは」
忰は己一人が飲んでは悪いと思った。
「なに、俺は酒がある、茶を飲むと旨くない」
燈の光が周囲を明るく見せた。女が手燭の燈を点けて持って来たところであった。
「ほう、燈が点いたか、舟の上で燈を点けると、舟遊山をするようじゃ」
父親はそう云い云い女の顔を見た。
「御膳もできておりますから、お酒が沸いたらすぐ持って来ます」
女は手燭を二人の傍へ置いて引返したが、引返す拍子にまたちらと忰の顔を見た。忰はきまりが悪いので俯向いて空になった茶碗に眼をやった。
「面倒をかけますな」
女は何か云って会釈しながら艫の方へ往ったが、すぐ一つの膳へ魚の煮たのを盛った皿や、飯のつけてある茶碗などを乗せて燗鍋といっしょに持って来た。
「これはありがたい、この舟は他の舟と違うて、姐さんのような人がおるから、何もかもが往きとどいておる」
父親は女にあいそを云い云い燗鍋の酒を、杯へ注いで飲んだ。
「お前は飯をやれ」
忰は父親にそう云われても傍にいる女にきまりが悪いので手が出なかった。
「お民、おい、お民」
壮い船頭の女を呼ぶ声がした。