Classici giapponesi con furigana
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はんこう
反抗
豊島 与志雄
Leggi 反抗 (はんこう) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.121 caratteri · 282 schermate
彼は一寸心の置き場に迷って、前にあった珈琲椀を取り上げた。何だか黙って居れなかった。
「さんざん小言を云っといて、珈琲一杯ではひどいですね。」
「だからお土産をつけてあげるわ。」
保子は帯の間から、紙に包んだものを取出した。周平は一寸躊躇したが、彼女の笑顔に促されて、黙ってそれを受取った。そしてすぐ立ち上った。
「落さないようになさいよ。」
無雑作に懐へねじ込むのを見て、保子からそう注意された言葉を、彼は上の空で聞き流して、外に出た。
空は晴れていた。西に傾いた晩春の陽が、咽っぽいような光りを一面に大地の上に送っていた。
或る曲り角で、向うから駈けてきた俥を避ける拍子に、枳殼の生籬の刺で、彼は手の甲を少し傷つけた。血のにじんだ所へ唾をつけると、ひりひりと痛んだ。それが妙に快い気持だった。
彼は保子のことを考えていた。姉妹のない彼にとっては、保子は姉――美しいやさしい姉であった。と同時にまた、人間的に師事している横田の夫人であった。彼女の親切を思う時、彼はしみじみと力強い気がした。彼女の保護がある以上は、あと二年足らずの大学選科も、無事に終えられそうだった。