Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふのきせつ

叢書名著の復興1 恐怖の季節

三好 十郎

Leggi 叢書名著の復興1 恐怖の季節 (きょうふのきせつ) di 三好 十郎 (みよしじゅうろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.544 caratteri · 508 schermate

Aozora Bunko

子供一 嬢様、おら達はなぜん、川を向うへ渡らねえのだえ?

お妙 それはね、どうせ利根を渡らねばお江戸へは行けないけれど、新ちゃんのいったようにこの取手で父ちゃんや兄ちゃん、村を出て向うを廻って皆さんと一緒になってから渡ります。さ、早く行こうね! (女房を顧みて)お滝さん、しつかりなすってくんなんせよ。

女房一(喘いでいる)……嬢様、わしあ、はあ、もうおいねえ……はあ腹あ空いて……。

子供二 おらも腹あ空いて、おいねえなあ!

子供四 足がガタクリ、ガタクリすっで俺あ!

子供五 おらの目、どうかしたて。田んぼや木なんどが見えたり見えなんだりするのだぞ。

お妙 困ったねえ。(袋をおろして中を手さぐる)お芋も、もうねえものを。ホントに……。

子供六 ワーン(手離しで泣き出す。それにつれて八人の子供の中六人までが泣き出してしまう)ひだりいてや! ワーン。

お妙 かにして、よ! 泣くのは、かにして、どうしたらいいのだろう? 私だっても、私だっても……(羞ずかしいやつれた顔がベソをかきかけている。途方にくれて一同を見渡していた末、自分までが引入れられてはいけないとキッと気を取直して)……いいえ、泣く子は此処に置いて行きます! お江戸までも行って、お願いをせねばならぬ者が、お腹が空いたくらいで泣くほどなれば、置いてきぼりになって死んだ