Classici giapponesi con furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Leggi 古寺巡礼 (こじじゅんれい) di 和辻 哲郎 (わつじてつろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.765 caratteri · 285 schermate
塔の高さと実によく釣り合ったこの相輪の頂上には、美しい水煙が、塔全体の調和をここに集めたかのように、かろやかに、しかも千鈞の重味をもって掛かっている。その水煙に透かし彫られている天人がまた言語に絶して美しい。真逆様に身を翻した半裸の女体の、微妙なふくよかな肉づけ、美しい柔らかなうねり方。その円々とした、しかも細やかな腰や大腿にまとう薄い衣の、柔艶をきわめたなびき方。――しかしそれは双眼鏡をもってしても幽かにしかわからない高いところに掛かっている。だから詳しい観察を求めるものはどうしても塔の一階に置かれた石膏の模作に引きつけられざるを得ない。模作でながめても、天人の体が水煙と融け合った微妙な装飾文様は、これほどのことまでわれわれの祖先にはできたのかと思うほど美しい。
しかしそれもゆるゆると味わっている暇はなかった。わたくしたちは東院堂の北側の高い縁側で靴をぬいで、ガランとした薄暗い堂の埃だらけの床の上を、足つま立てて歩きながら、いよいよあの大きい廚子の前に立った。小僧が静かに扉をあけてくれる。――そこには「観音」が、恐らく世界に比類のない偉大な観音が立っている。