Classici giapponesi con furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Leggi 古寺巡礼 (こじじゅんれい) di 和辻 哲郎 (わつじてつろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.765 caratteri · 285 schermate
夢殿の印象は粛然としたものであった。北側の扉をあけてもらって堂内に歩み入り、さらに二重の壇をのぼって中央の廚子に近づいて行くと、その感じはますます高まって行った。
わたくしたちは廚子の左側に立った。高い扉は静かに左右に開かれた。長い垂れ幕もまた静かに引き分けられた。香木の強い匂いがわれわれの感覚を襲うと同時に、秘仏のあの奇妙な、神秘的な、何ともいえぬ横顔がわれわれの眼に飛びついて来た。
わたくしたちは引きよせられるように近々と廚子の垂れ幕に近づいてその顔を見上げた。われわれ自身の体に光線がさえぎられて、薄暗くなっている廚子のなかに、悠然として異様な生気を帯びた顔が浮かんでいる。その眉にも眼にも、また特に頬にも唇にも、幽かな、しかし刺すように印象の鋭い、変な美しさを持った微笑が漂うている。それは謎めいてはいるが、しかし暗さがない。愛に充ちてはいるが、しかしインド的な蠱惑はない。
その肌の感じがまた奇妙である。幽かながら一面に残った塗金が、暗褐の地から柔らかく光り、いかにも弾力ある生きた肌のような、そのくせ人体の温かさや匂いを捨て去った清浄な肌のような、特殊な生気を持っている。