Classici giapponesi con furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Leggi 古寺巡礼 (こじじゅんれい) di 和辻 哲郎 (わつじてつろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.765 caratteri · 285 schermate
予告する寂しい陰影が漂うていた。
わたくしたちは、小さい花をつけた雑草の上に立って、大きい鍵の響きを聞いた。それがもう気分を緊張させる。戒壇院はそういうところである。堂のなかに歩み入ると、まずそのガランとした陰欝な空間の感じについで、ひどいほこりだという嘆声をつい洩らしたくなる。そこには今までながめて来た自然とは異なり、ただ荒廃した人工が、塵に埋もれた人の心があるのみであった。この壇上で幾百千の僧侶が生涯忘れることのないような厳粛な戒を受けたであろうに。そう思うとこの積もった埃は実に寂しい。しかしその寂しさはあの潤いのある九体寺のさびしさではない。
このガランとした壇上の四隅に埃にまみれて四天王が立っているのである。しかも空前絶後と称せられる貴い四天王が。それを見ると全く妙なアイロニイを感ずる。わたくしはこの種の彫刻をそのあるべき所に置いて見るのが好きであるが、しかしそのあるべき所がこのようにあるまじき状態になっているとすると、どうしたらいいであろう。戒壇の権威はもう地に堕ちている。だからこそわれわれは、布をかぶせてはあるが土足のままで、この壇上を踏みあらすこともできるのである。