Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふるむじな

古狢

泉 鏡花

Leggi 古狢 (ふるむじな) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.891 caratteri · 40 schermate

Aozora Bunko

」

「まあ……」

「すぐの、だだッ広い、黒い板の間の向うが便所なんだが、その洗面所に一つ電燈が点いているきりだから、いとどさえ夜ふけの山気に圧されて、薄暗かったと思っておくれ。」

「可厭あね。」

「止むを得ないよ。……実際なんだから。晩に見た心覚えでは、この間に、板戸があって、一枚開いていたように思ったんだが、それが影もなかった。思いちがいなんだろう。

山霧の冷いのが――すぐ外は崖の森だし――窓から、隙間から、立て籠むと見えて、薄い靄のようなものが、敷居に立って、それに木目がありそうに見える。ところで、穿いた草履が、笹葉でも踏む心持にバサリとする。……暗い中に、三つ並んでいるんです。」

「あの、鹿落。」

と、瞳を凝らした、お町の眉に、その霧が仄にうつッた。

「三階の裏階子を下りた処だわね、三つ並んだ。」

「どうかしたかい。」

「どうして……それから。」

お町は聞返して、また息を引いた。

「その真中の戸が、バタン……と。」

「あら……」

「いいえさ、怯かすんじゃあない。そこで、いきなり開いたんだと、余計驚いたろうが――開いていたんだよ。ただし、開いていた、その黒い戸の、裏桟に、白いものが一条、うねうねと伝っている。