Classici giapponesi con furigana
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ふるむじな
古狢
泉 鏡花
Leggi 古狢 (ふるむじな) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.891 caratteri · 40 schermate
「陽気も陽気だし、それに、山に包まれているんじゃない、その市場のすぐ見通しが、大きな湖だよ、あの、有名な宍道湖さ。」
「あら、山の中だって、おじさん、こちらにも、海も、湖も、大きなのがありますわ。」
湖は知らず、海に小さなのといっては断じてあるまい。何しろ、話だけでも東京が好きで、珍らしく土地自慢をしない娘も、対手が地方だけに、ちょっと反感を持ったらしい。
いかにも、湖は晃々と見える。が、水が蒼穹に高い処に光っている。近い山も、町の中央の城と向合った正面とは違い、場末のこの辺は、麓の迫る裾になり、遠山は波濤のごとく累っても、奥は時雨の濃い雲の、次第に霧に薄くなって、眉は迫った、すすき尾花の山の端は、巨きな猪の横に寝た態に似た、その猪の鼻と言おう、中空に抽出た、牙の白いのは湖である。丘を隔てて、一条青いのは海である。
その水の光は、足許の地に影を映射して、羽織の栗梅が明く澄み、袖の飛模様も千鳥に見える。見ると、やや立離れた――一段高く台を蹈んで立った――糶売の親仁は、この小春日の真中に、しかも夕月を肩に掛けた銅像に似ていた。
「あの煙突が邪魔だな。」
ここを入って行きましょうと、同伴が言う、私設の市場の入口で、外套氏は振返って、その猪の鼻の山裾を仰いで言った。