Classici giapponesi con furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Leggi 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.558 caratteri · 480 schermate
ご行列は乱れる、雪は散る、喧々囂々と騒ぎたてた群集をけちらして、表警備、忍び警備、隠れ警備の任についていた町方一統の面々が先を争いながら駆けつけると、われこそ宰相の御意にかなおうといわぬばかりに、ぐるぐると伊豆守のお身まわりに寄り添いながら、その下知を待ちうけました。
しかし、伊豆守は声がないのです。何者かの姿を捜し求めるかのように、しきりとあたりを見まわしていられましたが、そのときふとお目に止まったのは、だれでもない、じつにだれでもない、わが捕物名人右門の姿でした。しかも、名人がまた騒がないのです。
「てまえならばここに――」
いうようにひざまずくと、胸から胸へ、目から目へ、千語万語にまさる無言の目まぜをじっと送りました。同時に、宰相の口から、うれしい鶴のひと声がかかりました。
「おう、やはり参っておったか! 捜したぞ。――余の者どもに用はない。行けッ、行けッ。右門ひとりがおらばたくさんじゃ。みなひけい!」
まことに、まったくこんな胸のすく一語というものはない。大鴻よく大鴻の志を知り、名手よく名剣の切れ味を知るとはまさにこれです。その力量を信ずることだれよりも厚い名宰相伊豆守と、その明知に畏服することだれにもまさる名人右門とのやりとりは、意気も器量もぴたりと合って、つねにかくのごとくさわやかでした。