Classici giapponesi con furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Leggi 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 221.941 caratteri · 435 schermate
だが、そのせつな!――、まことに人の世の吉凶禍福はあざなえるなわのごときものでした。たんざくを書き終えて流すまではなんらの異状も見せなかったのに、そもいったいどうしたというのでありましたろうぞ! 式部小町の座乗していた屋形船が、波もないのに突如左右へゆらゆらと揺れ動いたかと思われましたが、底からいちじに水でもが吹きあげてまいりましたものか、あッと思った間にぶくぶくと、吸われるごとく水中にめりこみました。時も時なら、おりもおりでしたから、思わぬ珍事出来に風流優雅の絵模様を浮かべたたえていた水上は、たちまち混乱騒擾の阿修羅地獄にさまを変えたのは当然――
「火だッ、火だッ。早くたいまつ燃やせッ」
「どっちだッ、どっちだッ、姿が見えねえじゃねえかッ」
「こっちだッ、こっちだッ。ひとり抱き上げたから、早くなわを投げろッ」
響き合わせて、土手の上も喧々囂々と声から声がつづきました。
「あがったな、だれだッ、だれだッ。先生か、お嬢さまかッ。姿は見えねえかッ」
「髪のぐあいが小町らしいぞッ」
「違うッ、違うッ。おやじらしいぞッ」
と――わめき叫んでいる群集のうしろから、そのとき、突如聞いたような声が起こりました。