Classici giapponesi con furigana
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よしわらしんわ
吉原新話
泉 鏡花
Leggi 吉原新話 (よしわらしんわ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.157 caratteri · 75 schermate
引掛りそうに便なく響が切れて行く光景なれば、のべの蝴蝶が飛びそうな媚かしさは無く、荒廃したる不夜城の壁の崩れから、菜畠になった部屋が露出しで、怪しげな朧月めく。その行燈の枕許に、有ろう? 朱羅宇の長煙管が、蛇になって動きそうに、蓬々と、曠野にう夜の気勢。地蔵堂に釣った紙帳より、かえって侘しき草の閨かな。
風の死んだ、寂とした夜で、あたかも宙に拡げたような、蚊帳のその裙が、そよりと戦ぐともしないのに、この座の人の動くに連れて、屋の棟とともに、すっと浮いて上ったり、ずうと行燈と一所に、沈んで下ったりする。
もう一つは同じ向側の、これは低い、幕の下に懸って、真暗な門へ、奥の方から幽かに明の漏れるのが、戸の格子の目も疎に映って、灰色に軒下の土間を茫と這うて、白い暖簾の断れたのを泥に塗らした趣がある。それと二つである。
その家は、表をずッと引込んだ処に、城の櫓のような屋根が、雲の中に陰気に黒い。両隣は引手茶屋で、それは既に、先刻中引けが過ぎる頃、伸上って蔀を下ろしたり、仲の町の前後を見て戸を閉めたり、揃って、家並は残らず音も無いこの夜更の空を、地に引く腰張の暗い板となった。