Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きらこうずけのたちば

吉良上野の立場

菊池 寛

Leggi 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.369 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

どどっと物の倒れる、めりめりと戸の破れる、すさまじい響きが遠くの方でして、人の叫びがきこえてきた。上野介は、耳をすました。

「火事だ」という声がした。

(この押しつまった年の暮に不念な。邸内かな、それとも隣屋敷か……)と、思いながら上野は、

「火事か」と、隣にいるはずの近侍に声をかけた。そして、半身を起すと、畳を踏む音、家来の叫びが、きこえた。

「火事はどこだ。誰かいないか!」

気合をかけたらしい、鋭い声がした。近い廊下の雨戸が、叩き落されたらしい音がした。同時に、どっかの板塀にかけやを打ち込んでいるらしい音が、つづけざまにきこえた。

「浅野浪人かな?」

上野は、有明の消えている闇の中で脇差をさぐり当てた。

と、薄い灯の影がさして、

「御前」側用人が、叫んではいって来た。

「狼籍者が、押し込みました」

「浅野浪人か」

「そうらしいです。すぐお立退きを」

上野は、あわてて起き上った。太刀打ちの音がした。掛け声がきこえた。人の足音が、庭に廊下に部屋に、入りみだれかけた。

「こちらへ!」

「どこへ行く」

「お早く、お早く」

側用人は、勝手口に出て、戸を引き開けた。雪あかりであった。