Classici giapponesi con furigana
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ななしゆびものがたり
名なし指物語
Leggi 名なし指物語 (ななしゆびものがたり) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N4. Tocca una parola per il significato.
N4 · base · kanji e kana moderni · 10.312 caratteri · 21 schermate
マタンは、じぶんの周囲を、そっと見まわしました。火のない炉、炉棚の上の古いさら、天じょう、黒いふしあな、かべにえぐられたくぼみの中のキリストの像、かべとゆかのさかいで、二つにおれているじぶんのかげぼうし、かげぼうしの横にいる鳴かないコオロギ、それからそれへと、目をうつしていきました。それらのものは、無言のうちに、マタンのしようとしていることをとがめていましたが、いったん、マタンがそのことをしてしまったら、そのことはひみつにしていてやるよと、約束しているようにも思われました。そこでマタンは、三度、さいふをとろうとしました。すると、またしても、コツコツと、たたく音が聞こえたのでありました。
「だれだろう。」
マタンは、じぶんにつぶやきました。するとマタンの耳に、答えるものがありました。
「わたしです。」
「わたし?」
マタンは、びっくりしました。
「わたし? わたしってだれだ。」
すると、その声が答えました。
「わたしは、名前がありません。わたしは生まれたときから、名前なしでした。」
「そんなへんてこな話は、ありゃしないよ。ネコだって、プスとか、ミイと、名前をもっているもの。