Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
気味の悪い言葉であった。
ここで二人はまた黙った。
と、浪人は卒然といった。
「俺はすっかり変ってしまった」嘆くような声であった。
「妾も変ってしまいました」女房の声は顫えていた。
「俺は自分が解らなくなった。……それというのもあの晩からだ」
女房は返辞をしなかった。返辞の代りに立ち上がった。
「これ、どこへ行く。どうするのだ」
「灯でもともそうではございませんか」
やがて行燈がともされた。茫っと立つ黄色い灯影に、煤びた天井が隈取られた。
と、女房は仏壇へ行った。
カチカチという切り火の音。……
ここへも燈明が点された。
「南無幽霊頓証菩提。南無幽霊頓証菩提」
ブルッと浪人は身顫いをした。
「陰気な声だな。俺は嫌いだ」
「南無幽霊頓証菩提」
「その声を聞くと身が縮む」
「どうぞどうぞお許しください。どうぞどうぞお許しください」
「止めてくれ! 止めてくれ!」
「妾はこんなに懺悔しています。どうぞ怨んでくださいますな」
ザワザワと竹叢の揺れる音。……
どうやら夜風が出たらしい。
悪人同志の夫婦仲
「俺の心は弱くなった。それというのもあの晩からだ。……憎い奴は平手造酒だ!」