Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
「そっと仕舞って置くことさな。だが全くあの時は、見ていた俺さえ冷汗をかいた」
「今こそ笑って話すけれど、あの時妾は殺されるかと思った」
「だがな、あんな時俺が出たら、騒ぎは大きくなるばかりさ。そこでゆっくり拝見し駕籠が来たので付き添って、茶屋へ行ってからは思う存分、可愛がってやったからいいじゃねえか」
「だがね」と米八は探るように、「どうしてお前さんはあの鼓を、そうまで苦心して欲しがったのだろう?」
「なに、そんなことはどうでもいい」
次郎吉はヒョイと横を向いた。
「妾ア気がかりでならないんだよ」
「ふふん」というと舌なめずりをした。
「そうかと思うと今年の夏中、フイと姿を消したりしてさ」
「旅へ行ったのさ、信州の方へな」
「その旅から帰ったかと思うと、例の鼓を持っているんだもの」
「ナーニ、そいつあ観世さんから、相談ずくで譲って貰ったのさ」
「そりゃあそうだろうとは思うけれど、それから間もなく起こったのが、鼓泥棒の鼓賊なんだもの……」
「ふん、それがどうしたんだい?」
次郎吉はギロリと眼をむいた。
「だから気が気でないんだよ」
その時チョンチョンと二丁が鳴った。
「おやもう幕が開くんだよ。