Classici giapponesi con furigana
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めいくんただゆき
名君忠之
夢野 久作
Leggi 名君忠之 (めいくんただゆき) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.683 caratteri · 32 schermate
一
この話の中に活躍する延寿国資と、金剛兵衛盛高の二銘刀は東京の愛剣家、杉山其日庵氏の秘蔵となって現存している。従ってこの話は、黒田藩に起った事実を脚色したものであるが、しかし人名、町名と時代は差障りがあるから仮作にしておいた。悪からず諒恕して頂きたい。
「不埒な奴……すぐに与九郎奴の家禄を取上げて追放せい。薩州の家来になれと言うて国境から敲き放せ。よいか。申付けたぞ」
数本の桜の大樹が、美事に返咲きしている奥庭の広縁に、筑前藩主、黒田忠之が丹前、庭下駄のまま腰を掛けていた。同じ縁側の遥か下手に平伏している大目付役、尾藤内記の胡麻塩頭を睨み付けていた。側女を連れて散歩に出かけるところらしかった。
裃姿の尾藤内記は、素長い顔を真青にしたまま忠之の眼の色を仰ぎ見た。そうして前よりも一層低く頭を板張りに近付けた。
「ハハッ。御意には御座りまするが……御言葉を返すは、恐れ多うは御座りまするが、何卒、格別の御憐憫をもちましてお眼こぼしの程……薩藩への聞こえも如何かと存じますれば……」
「……ナニッ……何と言う……」
忠之の両の拳が黄八丈の膝の上でピリピリと戦いた。