Classici giapponesi con furigana
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るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
Leggi 呂宋の壺 (るそんのつぼ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.375 caratteri · 36 schermate
海の荒れる悪い時季だったが、それを承知で、七月二日の朝、マニラを発った。
思いのほか穏やかな航海だったが、十日の夜になると、東北の強風が吹きだし、船を揺りに揺すった。
十一日の朝、まだ夜が明けないのに、マレー人の水主どもがあわただしく駆けまわっている。
吉之丞が水主をつかまえて、なにがはじまったのかとたずねると、ひどく揺れたので舷の外板がゆるみ、そこからドンドン水が入りこんでいるのだといった。
船を停めて修理をすべきだと思うのだが、暴風に逆ってむやみに船を走らせている。吉之丞が上にあがってみると、大帆も矢帆もいっぱいに張り、小矢帆まで出してある。漏水で船が水びたしになるのが早いか、安南のフェイフォに逃げこむのが早いか、競争するつもりらしい。
走らせればそれだけ傷が大きくなる道理だから、これは大事になると、吉之丞は思わず吐息をついた。
十三日の午前になると、案の定、帆は残らず吹き千切られてしまい、否応なく船を停め、波と風に運命を任せるほか、しようがなくなった。
※(「さんずい+章」、第3水準1-87-8)州船は暴風の後の長いうねりに押され、押し戻され、あてどもなく漂流していたが、そのうちに浸水の速度が早くなって、胴ノ間の天井まで水がつくようになった。