Classici giapponesi con furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Leggi 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) di 森田 草平 (もりたそうへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.183 caratteri · 112 schermate
しかし相続人とてはなし、渡さぬからとて、女子どもにはお咎めもござりますまい」
「拙者も御同様」
「拙者も……」
が、こんな話しになると、さすが死を決した面々もだんだん悒鬱になって、しまいには皆黙ってしまった。聞いている小平太には、いよいよ自分の用事が滑稽に見えてきた。
「他人は皆、ある妻子まで離別して、出かけてきている。それだのに、自分は今生死の境に立って、新に妻を迎えたと、それも内密で、拵えたと、そんなことがどうしてお頭の耳に入れられよう? ばかな!」
そう思うとともに、きゅうに身繕いして、
「誠に長座をして失礼いたしました」と、諸士に一礼して立ち上った。
「おお小平太どの、お帰りか。何か太夫に火急な用事でもあったのではござらぬか。お急ぎなら、吾々からお取次ぎいたそうか」と、口々に言ってくれた。が、そんな明らさまに、他人に言われるような用事ではない。
「いや、ありがとうはござりますが、さしたることでもござりませぬ。おりもあらば、また重ねて参上しまして」と言い捨てたまま、そこそこにその隠宅を出てしまった。
彼は真直に林町の宿へ戻ってきた。そして、一間に閉じ籠ったまま、誰とも顔を合せないようにしていた。