Classici giapponesi con furigana
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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
Leggi 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) di 高浜 虚子 (たかはまきょし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 115.187 caratteri · 231 schermate
近時は一体に文学者が雅号を用いぬことが流行するが、寺田君はその頃から寅彦で押し通していた。坂本君は本名の四方太を四方太と読ませていたが、寅彦君は本名そのまま寅彦で押し通したのであった。その日寅彦君は初めから終いまで黙って私たちの謡を聞いていたが、済んでから、先生の謡はどうかしたところが大変拙いなどと漱石氏の謡に冷評を加えたりした。そうすると漱石氏は、拙くない、それは寅彦に耳がないのだ、などと負けず我慢を言ったりなどした。
「僕も洋行することになるのだったから、謡なんか稽古せずに仏蘭西語でも習っておいたらよかった。」と漱石氏は言った。私は謡と仏蘭西語とを同格に取り扱うような氏の口吻をその時不思議に思ってこの一語を今も牢記している。その時氏はまた美しいペーパーの張ってある小さい鑵の中から白い粉を取り出して、それを掌にこすりつけて両手を擦り合わした。そうするとその白い粉がやや黒味を帯びた固まった粉になって下に敷いてある紙の上にこぼれ落ちた。
「それは何ですか。」と私は不思議そうにながめ入った。
「これは手の膏をとるのですよ。僕は膏手だから。」と漱石氏は応えた。