Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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トソンラン

土城廊

金 史良

Leggi 土城廊 (トソンラン) di 金 史良 (きむさりゃん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.752 caratteri · 52 schermate

Aozora Bunko

流れに浸った土幕はばさりと足元の土を噛み砕かれて、一瞬間よろめいてみえめりめり毀れて流れへ落ちる。藁束の屋根は濁流の中へ逆立ちした。鼠が冷い水の中へ放うられて岸に向って慌てふためく。近くの小屋からは物事に驚いた人々の黒い首が現われ、そして又消える……。中流はまだまだ腹が高い。これからもますます水嵩が増す前兆に違いないのだ。柱や家具や家畜や農家の屋根さえ浮びつ沈みつ矢のように流れて行く。そしてそれ等がさして行く遠い南の彼方にも、大海のようにぎらぎらと輝く広い眺望が横たわっていた。

土城の東側の沼地ははけ口のない雨水で湖のようになり、屠殺場も浸水して水に浮びそうである。幾十人かの男が張り廻した木柵の中から豚を追い出そうとしていた。彼等が泥沼の中を駆け廻りながら何かを盛んに喚き立てると、黒い豚の群はけたたましい声で騒ぎ立てながら、向いの高く盛り上った鉄道線路の方へなだれて行く。丁度今し方通りかかりの黒い列車は、線路の傍にまで迫って来た洪水に用心深くぴーぴー汽笛を鳴らしつつゆるゆるとかーぶを描いていた。その向うでは赤く宏壮な監獄の高い建物と、煙突の林立した灰白い都市の空がじっとこの風景を見守っていた。