Classici giapponesi con furigana
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トソンラン
土城廊
金 史良
Leggi 土城廊 (トソンラン) di 金 史良 (きむさりゃん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.752 caratteri · 52 schermate
「お前さん、く、くだらねえ真似しようとするのけえ? 行くだ。なあ、行くだよ」
狂女は急に歯をむき出してにんまりわらい、
「助平や、えききき……ちったあ悲しくなるだかね?」
と云うと、きーきー異様な声でわらいながら走って行った。
二人の姿は薄闇を縫うて北の方へと消えて行く。ひきずる足が躓くのであろう、時々ぶりき鑵のごとごと鳴る音が不気味に聞えた。彼方向うの石橋の辺りには、背並びに薄明るく橋灯が線を描いて洪水の上を渡っている。城内は何か急にびっくりでもしたように灯の海になった。元三爺はながい間そのまま失神したように身動くことも忘れていた。土城を呑み砕いている濁流の音だけがますます騒々しくなって行った。時々ポプラの木の上で名も知らない鳥が羽ばたきしつつ巣の中で寝床を安らげる音が静かに聞える。だがどうしたはずみか爺は何かに驚いて反射的にぴたっと身を伏せた。そして恐怖に突き抜かれて顔を地べたにすり附け息を殺した。
轟然地鳴りがしたのである。その時――。
南の方へ三四十間離れた土城の続きが遂に持ちこたえきれず、見る見る崩れて流の中へ倒さに落ちかかったのだ。水のしぶきが十数尺も高く弾ね上った。