Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちはゆたかなり

地は饒なり

宮本 百合子

Leggi 地は饒なり (ちはゆたかなり) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.874 caratteri · 57 schermate

Aozora Bunko

―月―日

あまりに、あまりに婉曲な辞令、便宜上の小手段、黙契をもって交換的にする尊敬の庇護、私は皆、嫌いだ。

広い広い野原に行きたい。大きな声で倒れるまで叫んで駈けまわりたい。大鷲の双翼を我に与えよ」

けれども、これ等の断片的の文句よりは、どうかして出されずにあった、或る人への手紙が、一番よく彼女の云いたかったことを云っているように思われる。青い小形の紙に、Aさん、私は今こんな話を思いつきました。

という書き出しで、細かい字がぎっしり七枚の紙を埋めている。それは多分十五年と十六年との間の冬に書かれたものらしい。

「昔、昔、或るところに一人の王様があった。

彼は生れたときからどうしたのか、耳殻が両方ともついていない。立派な王冠の左右へ、虫の巣のように毛もじゃもじゃな黒い穴ばかりが、ポカリと開いていた。

その様子が非常に滑稽だったので、子供達や、正直な若い者は、皆、

王様は立派でいらっしゃるが、あの耳だけはおかしいなあ、

と云ったり、笑ったりした。

もちろん王様自身も気が気ではなかった。が、どうすることも出来ないのでいつもいつも自分の不仕合わせな耳のことばかり考えておられた。