Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate

Aozora Bunko

まして慢性の自滅で満足する今の自分には、たとい白銅一箇の草鞋銭でも大切である。帰ると事がきまりさえすれば、頭を地に摺りつけても、原さんから旅費を恵んで貰ったろう。実際こうなると廉恥も品格もあったもんじゃない。どんな不体裁な貰い方でもする。――大抵の人がそうなるだろう。またそうなってしかるべきである。――しかしけっして褒められた始末じゃない。自分がこんな事を露骨にかくのは、ただ人間の正体を、事実なりに書くんで、書いて得意がるのとは訳が違う。人間の生地はこれだから、これで差支ないなどと主張するのは、練羊羹の生地は小豆だから、羊羹の代りに生小豆を噛んでれば差支ないと結論するのと同じ事だ。自分はこの時の有様を思い出すたびに、なんで、あんな、さもしい料簡になったものかと、吾ながら愛想が尽きる。こう云う下卑た料簡を起さずに、一生を暮す事のできる人は、経験の足りない人かも知れないが、幸な人である。また自分らよりも遥に高尚な人である。生小豆のまずさ加減を知らないで、生涯練羊羹ばかり味わってる結構な人である。

自分は、も少しの事で、手を合せて、見ず知らずの飯場頭からわずかの合力を仰ぐところであった。