Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate

Aozora Bunko

それをやっとの事で喰い止めたのは、せっかくの好意で調えてくれる金も、二三日木賃宿で夜露を凌げば、すぐ無くなって、無くなった暁には、また当途もなく流れ出さなければならないと、冥々のうちに自覚したからである。自分は屑よく涙金を断った。断った表向は律義にも見える。自分もそう考えるが、よくよく詮索すると、慾の天秤に懸けた、利害の判断から出ている事はたしかである。その証拠には補助を断ると同時に、自分は、こんな事を言い出した。

「その代り坑夫に使って下さい。せっかく来たんだから、僕はどうしてもやって見る気なんですから」

「随分酔興ですね」

と原さんは首を傾げて、自分を見つめていたが、やがて溜息のような声を出して、

「じゃ、どうしても帰る気はないんですね」

と云った。

「帰るったって、帰る所がないんです」

「だって……」

「家なんかないんです。坑夫になれなければ乞食でもするより仕方がないです」

こんな押問答を二三度重ねている中に、口を利くのが大変楽になって来た。これは思い切って、無理な言葉を、出にくいと知りながら、我慢して使った結果、おのずと拍子に乗って来た勢いに違ないんだから、まあ器械的の変化と見傚しても差支なかろうが、妙なもので、その器械的の変化が、逆戻りに自分の精神に影響を及ぼして来た。