Classici giapponesi con furigana
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こうふ
坑夫
Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate
――どうあっても登らなければならない。
左の手を頭の上まで伸ばした。ぬらつく段木を指の痕のつくほど強く握った。濡れた腰をうんと立てた。同時に右の足を一尺上げた。カンテラの灯は暗い中を竪に動いて行く。坑は層一層と明かるくなる。踏み棄てて去る段々はしだいしだいに暗い中に落ちて行く。吐く息が黒い壁へ当る。熱い息である。そうして時々は白く見えた。次には口を結んだ。すると鼻の奥が鳴った。梯子はまだ尽きない。懸崖からは水が垂れる。ひらりとカンテラを翻えすと、崖の面を掠めて弓形にじいと、消えかかって、手の運動の止まる所へ落ちついた時に、また真直に油煙を立てる。また翻えす。灯は斜めに動く。梯子の通る一尺幅を外れて、がんがらがんの壁が眼に映る。ぞっとする。眼が眩む。眼を閉って、登る。灯も見えない、壁も見えない。ただ暗い。手と足が動いている。動く手も動く足も見えない。手障足障だけで生きて行く。生きて登って行く。生きると云うのは登る事で、登ると云うのは生きる事であった。それでも――梯子はまだある。
それから先はほとんど夢中だ。自分で登ったのか、天佑で登ったのかほとんど判然しない。